親が施設に入った。実家を相続した。気づけば、尼崎の実家がもう何年も空いている。
「直して住むか、売るか、壊すか……。補助金って出るんやろか?」
あまるも、雨戸の閉まった家の前で首をかしげています。
尼崎市には、空き家を直す・売る・解体するときに使える補助制度がいくつもあります。ただし、条件や申請のタイミングを外すと使えません。
この記事では、2026年度の制度を、市の公式ページで確かめながらまとめました。
この記事でわかること
- 目的別に使える尼崎市の空き家の補助制度
- 直して住むときの補助(最大100万円)
- 売るときに使える制度と税金の特例
- 解体するときの補助(最大50万円)と、解体前に知っておきたい税金の話
- 相談できる窓口
目的別・尼崎市の空き家の補助制度一覧
結論から言うと、空き家をどうしたいかで、使える制度が変わります。
| したいこと | 制度 | 補助の目安 |
|---|---|---|
| 直して自分で住む | 空家改修費補助 | 工事費などの3分の2、戸建ては最大100万円 |
| 中古の空き家を買って住む(子育て・新婚世帯) | 子育てファミリー世帯及び新婚世帯向け空家改修費補助 | 工事費の2分の1、最大50万円(加算あり) |
| 売る | 空家バンク、既存住宅流通促進事業、譲渡所得の3,000万円特別控除 | 検査は最大8.8万円、保険は最大3.7万円 |
| 解体する(借地の長屋・道路に接していない土地) | 特殊空家に係る除却費補助金 | 工事費などの3分の2、最大50万円 |
どの制度も、申請期間は2026年4月1日〜12月28日(3,000万円の特別控除と空家バンクを除く)です。期間内でも、予算がなくなれば受付が終わります。
直して住むなら「空家改修費補助」
空き家をリフォームして、自分で住む人のための補助です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の空き家 | 築20年以上で、2年以上使われていない戸建て・長屋・共同住宅など |
| 耐震 | 1981年6月1日以後に建築確認を受けたもの。それより前なら、新しい耐震基準に合っていることが必要 |
| 対象者 | 自分が住むために直す所有者、買う予定の人、借りる人 |
| 補助額 | 「工事費」と「住宅部分の延べ面積×4万円」の少ないほうの3分の2 |
| 上限 | 戸建て・長屋は1戸100万円、長屋・共同住宅は1棟200万円 |
| 条件 | 工事のあと10年以上住むこと。完了後も市に使い方を報告する |
道路に接していない土地の空き家なら、3か月以上使われていなければ対象になります。賃貸住宅にする場合の「事業者型」もあります。
子育て・新婚世帯が中古の空き家を買うとき
子育て世帯(18歳未満の子がいる、または妊婦がいる世帯)や新婚世帯が、一戸建ての空き家を買って直すときの補助もあります。
- 補助額は工事費の2分の1、上限50万円
- 親と同居(延べ面積125㎡以上)なら25万円、市外から転入なら10万円を上限に加算
- 延べ面積80㎡以上、竣工から5年以上、3か月以上だれも住んでいない一戸建てが対象
売るときに使える制度
尼崎市空家バンク
空き家・空き地を「売りたい・貸したい」所有者と、「使いたい」人をつなぐ市の制度です。
- 登録すると、国の「全国版空き家バンク」(アットホーム、LIFULL HOME'S)にも載る
- 不動産会社との媒介契約が必要。決まっていなければ、市が宅地建物取引業協会尼崎支部に紹介を頼んでくれる
- 登録の有効期限は2年
売る前の検査と保険(既存住宅流通促進事業)
中古住宅を売り買いするときの「建物の検査(インスペクション)」と「売買瑕疵保険」の費用を補助する制度です。
- インスペクションの費用:最大8万8,000円
- 売買瑕疵保険:費用の2分の1、最大3万7,000円
- 実施する前に、市への届け出が必要
相続した実家を売るときの税金の特例
亡くなった親が住んでいた家を相続して売ったとき、一定の条件を満たすと、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例があります(相続人が3人以上なら2,000万円)。
- 期限は、相続した日から3年がたつ日の年の12月31日まで
- 特例に必要な「被相続人居住用家屋等確認書」は、尼崎市の「住まいと空き家の相談窓口」で申請する
- 適用の細かい条件は、税務署で確かめる
解体するときの補助
特殊空家に係る除却費補助金
すべての空き家の解体に補助が出るわけではありません。尼崎市が補助しているのは、自分の土地として使いにくく、解体が進みにくい空き家です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 借地の上にある長屋の空き家、道路に接していない土地(無接道地)の空き家 |
| 補助額 | 「工事費」と「延べ面積×標準単価(木造3万6,000円/㎡、非木造5万1,000円/㎡)」の少ないほうの3分の2 |
| 上限 | 50万円(切り離しが必要な長屋は1戸70万円) |
| 対象者 | 個人の所有者。世帯の所得が900万円以下などの条件あり |
| 注意 | 工事の着工前に申請。すでに始めた工事は対象外 |
このほか、道路に接していない土地などで単独では解体しにくい空き家を、まわりの住宅とまとめて解体するときの補助(1戸あたり最大50万円)もあります。
解体の前に知っておきたい税金の話
市のページには、こう注意書きがあります。
住宅を解体して、1月1日に住宅がない状態になると、原則として土地の固定資産税・都市計画税の「住宅用地の特例」が使えなくなり、税額が上がる。
建て替えの場合は特例が使えることもあるので、解体を決める前に資産税課(06-6489-6264)に確かめておきましょう。
なんで「住んでる家の外壁塗装」に補助は出ないん?
ここで、あまるが首をかしげました。
「ワン?(うちの外壁も塗りかえたいんやけど、補助出えへんの?)」
尼崎市は、空家改修費補助のページで、はっきりこう書いています。
「尼崎市では、居住中の住宅の外壁工事や屋上防水工事などに対する補助はありません」
そして、「すでに住んでいる家のリフォームに補助金が出る」と言って契約させる悪質な商法が増えていると注意を呼びかけています。
空き家の補助は、あくまで「空き家」が対象です。「補助金が使えますよ」と訪ねてくる業者には、その場で契約しないようにしましょう。
相続登記の補助は、いまは受付停止中
相続登記や遺言書の作成の費用を補助する制度もありますが、2026年10月28日の時点で、予算の上限に達したため受付を停止しています。再開するときは、市のページで知らされます。
なお、相続登記は不動産を持つ人の義務です。補助が使えなくても、神戸地方法務局尼崎支局で手続きをしましょう。
どの制度も「契約・着工の前に申請」
尼崎市の空き家の補助で、いちばん気をつけたいのはここです。
- 改修の補助は、交付が決まってから工事の契約をする
- 解体の補助は、着工前に申請する。始めた工事は対象外
- 申請期間内でも、予算がなくなれば終わる
- 工事の完了報告は、2027年1月29日までに出す
「業者と先に契約してしまった」では使えません。まず窓口に相談するのが確実です。
相談窓口
| 窓口 | 内容 | 電話 |
|---|---|---|
| 住まいと空き家の相談窓口(市役所本庁北館5階) | 空き家の相談、3,000万円特別控除の確認書の申請、補助の申請 | 06-6489-6511 |
| 空家対策担当 | 空き家の補助制度の問い合わせ | 06-6489-6139 |
| 資産税課 | 解体したあとの固定資産税 | 06-6489-6264 |
まとめ:まず「どうしたいか」を決めて、契約の前に相談
- 尼崎市の空き家の補助は、直す・売る・解体するで使える制度が違う
- 直して住むなら空家改修費補助(戸建て最大100万円、10年以上住む)
- 売るなら空家バンク、検査と保険の補助、3,000万円の特別控除
- 解体の補助は、借地の長屋や無接道地の空き家が中心(最大50万円)。解体すると土地の税金が上がることがある
- 住んでいる家の外壁塗装に市の補助はない。「補助が出る」という勧誘に注意
- どの制度も、契約・着工の前に申請
実家の中の家具や家電を片づけるときは、引越し・実家の片づけでごみが大量に出たらと捨てる前に売るも読んでみてください。
参考にした情報(2026年10月28日に確認)
・尼崎市「空き家の減少に向けた取組」
・尼崎市「空家改修費補助事業」
・尼崎市「子育てファミリー世帯及び新婚世帯向け空家改修費補助事業」
・尼崎市「特殊空家に係る除却費補助金」
・尼崎市「一団の土地上に存する老朽危険空家等に該当する住宅等の除却費補助」
・尼崎市「既存住宅流通促進事業」
・尼崎市「尼崎市空家バンク」
・尼崎市「空き家を売却した際の譲渡所得の特別控除」
・尼崎市「相続登記費用及び遺言書作成費用に係る補助金」